休職してしばらく経つと、
「心が少し楽になってきた」
「体も動くようになってきた」
「買い物にも行けるし、友達にも会える」
そんなふうに感じる時期がきます。
そうすると、
「そろそろ復職できるかな」
と思い始める方も多いと思います。
もちろん、ここまで回復してきたことは、とても大切です。
ただ私は、症状が回復することと、復職するための準備ができていることは、同じではないと思っています。
「焦って復職せず、しっかり治してから戻りたい」というお話はよく聞きます。
でも、
「再び同じことを繰り返さないように準備してから戻りたい」
という話は、意外とあまり聞きません。
ここは、復職を考えるときに一度立ち止まって考えてほしいところです。
休職前、どんなふうに働いていましたか
適応障害で休職された方に、
「どんなことが負担になっていたと思いますか」
と聞いてみると、いろいろなお話が出てきます。
たとえば、
仕事を頼まれると断れなかった。
分からないことがあっても、人に聞けなかった。
先輩に遠慮してしまって、声をかけるタイミングを逃していた。
しんどくても「大丈夫です」と言っていた。
後輩にしんどい思いをさせてはいけないと思って、自分が後輩の分まで背負っていた。
仕事はちゃんとやらないといけないと思って、何度も確認して、締め切りよりずっと早く提出していた。
その結果、
「まだ余裕があるんだな」
と思われて、次の仕事を頼まれてしまい、気づいたら仕事量がどんどん増えていた。
こういうことは、ありませんでしたか。
休職の原因は、自分だけにあるわけではありません
もちろん、休職の原因がすべて本人の考え方や行動にある、ということではありません。
自分ではコントロールできないほど仕事量が多かった。
残業が続いていた。
パワハラがあった。
人間関係がつらかった。
部署異動があった。
急に役割が変わった。
こうした環境の影響は、とても大きいです。
だから、環境調整が必要なこともあります。
ただ一方で、環境だけを変えれば、すべて解決するとも限りません。
体調が戻っても、行動パターンはそのままかもしれない
たとえば、頼まれると何でも引き受けてしまう人がいたとします。
休職して、体調が戻ってきた。
そして復職する。
でも、また仕事を頼まれたときに、以前と同じように全部引き受けてしまったらどうでしょう。
むしろ、
「休んで迷惑をかけたから、今度は断れない」
と、以前より頑張ってしまうこともあるかもしれません。
先輩に質問することが苦手だった人も同じです。
休職したからといって、復職したその日から、何の遠慮もなく質問できるようになるわけではありません。
むしろ、
「仕事ができない人だと思われたくない」
「休んでいた分、自分で何とかしないと」
と考えてしまうこともあります。
症状が良くなることと、
これまでの考え方や行動パターンが変わることは、
別なんですね。
復職準備は「以前とは違う対応」を増やすこと
復職したあと、また同じようにしんどくならずに働き続けるためには、
自分がどんなときに無理をしやすいのか。
どんなふうに考えやすいのか。
どんな行動を取りやすいのか。
そこに気づいておくことが大切です。
たとえば、
「分からないことを聞いたら、迷惑だと思われる」
という考えに強く縛られていた人がいたとします。
そのまま復職するのと、
「分からないことを確認するのは、仕事では普通のことかもしれない」
という別の考え方も持てるようになってから復職するのとでは、少し違いますよね。
大切なのは、
以前と同じストレスがかかったときに、今度は少し違う対応ができること。
私は、これが復職準備だと思っています。
復職は「元の自分に戻ること」ではない
心が少し楽になった。
体も動くようになった。
それは、とても大切な回復です。
でも復職は、
休職前の自分にそのまま戻ることではない
と私は思っています。
今までとは少し違う働き方を考える。
実際に復職して、その働き方を試してみる。
「これは無理があるな」
「これは続けられそうだな」
と調整しながら、自分に合う働き方を見つけていく。
そこまでが復職なのではないかな、と思っています。
一度、紙に書き出してみてください
この記事を読んで、
「そういえば私は、こういうところで無理をしていたかも」
と思うことがあったら、一つだけでも書き出してみてください。
頭の中だけで考えるよりも、紙に書く方が少し客観的に見やすくなります。
そして、
「次に同じことが起きたら、今度はどうしてみようかな」
と考えてみてください。
たとえば、
頼まれたらすぐ引き受けるのではなく、一度予定を確認する。
分からないことがあったら、5分だけ自分で調べて、それでも分からなければ聞く。
「大丈夫です」と反射的に答える前に、本当に大丈夫か考える。
100点になるまで抱え込まず、一度途中で相談する。
ほんの少し違う対応で構いません。
復職準備ワークブックでも、ここを大切にしています
私が作った「復職準備ワークブック」では、全11講座を通して、
自分のストレスサインに気づくこと。
考え方のクセを振り返ること。
考え方を少し柔軟にすること。
人との関わり方や伝え方を見直すこと。
休職に至った要因を整理すること。
そして、復職後にどう対処するかを考えること。
こうしたことに順番に取り組めるようにしています。
ワークを進めていくと、
「私は、こういうときに無理をしやすいんだな」
「こういう考え方になると、しんどくなりやすいんだな」
「次は、こういう対応をしてみてもいいかもしれない」
ということが、少しずつ見えてきます。
復職のゴールは、会社に戻ることだけではありません。
戻ったあとに、
無理をしすぎず、
自分の状態を見ながら、
働き続けられること。
そのために、
「元気になったから復職する」
だけではなく、
「次に同じようなストレスがかかったときに、今度は少し違う対応ができそうか」
というところまで、一度考えてみてほしいと思っています。
復職準備ワークブックについては、こちらからご覧いただけます。
▼復職準備ワークブック
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